不二裕太の兄 2001.6.1


今日は久しぶりに裕太が帰ってくる。

どうしてだろう。
意識していないのに不思議と嬉しさが込み上げて来るんだ。



裕太はあの時以来、少し素直になったと思う。
ボクにただ突っかかってた以前とは違って、不器用で乱暴な言葉の中にも、
ほんの少しだけ優しさが感じられるようになった。 

少しだけ、少しだけだけど。


やっぱり兄弟っていいもんだよね。 


「それじゃ、周助。私もう行くわね。裕太とちゃんと仲良く出来るよう姉さん祈ってるから」
「うん。ありがと。ごめんね。ボクの為に出掛けてもらっちゃって」
「いいのよ、周助と裕太の為だもの」
「クス。いってらっしゃい」

姉さんを見送るとボクは自分の部屋に戻った。
ボクの部屋は裕太の部屋の隣にある。

「さて、と。裕太が帰って来るまでに、この部屋片付けなくちゃね。これじゃまた怒られちゃう」

そう。一見ボクの方が神経質で、裕太の方がガサツに見えるみたいだけど、
実際のところ、まったく反対なんだよね。

ボクの場合、神経質でもなければ、ガサツってわけでもないかな。
変なところ気にするっていうか。そんな感じ。


裕太はああ見えてわりと几帳面。物も大事にするし。
ボクなんて壊れたらすぐ新しいもの買っちゃうけどね。

昔はよく怒られたなぁ。ボクすぐ物どっかにやっちゃうから。
もっと大事にしろって。部屋もちゃんと片付けろってね。クスクス。 


わ。これ昔旅行に行ったときの写真だ。懐かしい…
裕太もちっちゃくて可愛いね。今はもう抜かされちゃったけど。
 
いつからだったかな…
小学生まではボクの方がまだ大きかったと思うんだけど。


「ただいま…おい、誰かいねぇのか?」

「ん…?裕太帰ってきたのかな」

そうだ。驚かしちゃおう。
裕太って単純だから騙しやすいんだよね。クス。

裕太の部屋の方がボクの部屋より奥にある。
だから、ボクは裕太が自分の部屋を通り過ぎるのを確認してから
裕太の目を両手で塞いでやった。すると裕太は思った通り、
驚いた様子で、少し体勢が崩れる。

「だーれだ?」
「…兄貴、いたのかよ」
「当たり前じゃない。久しぶりに裕太が家に帰ってくるっていうのに、誰も迎えてあげないでどうするの」
「ったく…もっとまともに迎えられないのかよ」
「普通じゃつまんないじゃない」

うん。ボク普通っていうのが一番嫌い。
いつでも刺激が欲しい人間だから。

「今日は姉さんも彼氏のところだし、二人きりだよ。ねっ、なんかおいしいもの食べに行こう」
「別に出前とかコンビニの弁当でいい。面倒くさい」
「ダメ。ボクがそれじゃダメなの」
「オレは疲れてんだよ。たまにはゆっくり家でのんびりさせろよ」 
「それもそうだね。じゃぁ、裕太が作ってよ」

「はっ…!?だから疲れてるって言ってるだろ」
「だって、裕太の料理おいしいんだもん」

裕太の料理は周りから変だって言われるボクのこの味覚でも
すごく美味しいと感じる。これって兄弟愛なのかな。

「ねぇ、今日泊まっていくんでしょ?」
「あぁ。明日帰る」
「じゃあさ。今日一緒に寝ようよ」

もちろん襲っちゃうつもりだけどね。クス。
でも、それは後での楽しみだから今は我慢。ボクってば偉いよね。

本でも読んで、裕太の手料理が出来るまで待つか。
時折、キッチンのほうに目をやる。料理をしている裕太の姿が目に入ると、
ボクはその度に少し口が緩んだ。


「ごちそうさま。絶対明日の朝ご飯も作ってよね」
「まだ作らせる気かよ!?それだけでいいだろ」
「ヤダ」

せっかく裕太といられるんだからもっと贅沢言わせてよ。

「ヤダじゃねぇ!!作らねぇったら作らねぇ。もういい。風呂入ってくる」
 
風呂…

お風呂か。いいね、それも。
うん。ボクもお風呂だ。


「あ゛〜!!久しぶりに帰ってきたと思ったらこれかよ。ちょっとは労われってんだ」

ボクは充分愛を贈ってるつもりなんだけどな。
仕方ない。身で分からせてあげるか。
 
「じゃぁ、そんな久しぶりに家に帰ってきた裕太にボクが背中を流してあげる」

どう?これでボクの兄心伝わるよね。

「なっ何入ってきてんだよっ!!おっお前、前ぐらい隠せ!!」
 
なんだ。照れてるの?慣れてないのか。クス。
可愛い〜…それじゃボクが身体で味合わせてあげる。

「ボクら兄弟なんだし、そんなの気にしない気にしない。ホラ、こっちおいで。ここ座って」
「ぜってぇー出ねぇ!!」
「…力ずくでも出してやるんだから」
 
よいしょ。裕太も結構筋肉ついたね。結構重い。
裕太のほうが体格いいからかな。

「ふぅ〜…さっここ座って」
「……」

おとなしくなったことだし、ここはひとつ・・・クス。

「お兄さん、どこから来たの〜?ここはじめて?」
「…っ!!何言ってんだてめぇは!!」
「クス。ちょっとはいい気分になった?だって黙ってボクに背中流されるなんて、裕太つまんないかと思ったんだもの」
「普通にやれ!普通でいい!!」

「そう。つまんないね」

裕太って冗談通じないんだよね。手塚と似てる。
真面目なんだから。もう少し柔軟になった方がいいよ。
 
まぁ、真面目でお堅い人間を犯しちゃうってのは
ボクも好きなんだけどね。

「はぁ〜…お前なぁ、背中にくっつけるな!」
「何を?」
「何をじゃねぇ。お前のそれだよ!!」
「それ、じゃ分かんない。ちゃんと言って」

「…っ!!」
「クス。どうしたの?顔真っ赤だよ?」

「オレはもう出る!お前一人でやってろ」

ダメだよ。まだ全部洗ってないんだから。

「待って…ゴメンね。もうこんなこと言わないから。こんなこともしないよ。ボク裕太が帰ってくるのすごく楽しみだったんだ。だから、嬉しくてつい」

「だからぁ……はぁ〜…抱きつくなよっ!!くっつくな!!当たってるんだよ!!」

「クスクス。バレちゃった?」

裕太ってこういうとこだけはしっかりしてるんだから。
ガード固すぎ。やっぱり寝込みを襲うしかないか。

 

「兄貴のやつ、絶対ヤバイ…手塚さんとか危ねぇよな。っていうかオレも今日平気かよ…鍵かけとこ」
 
ガチャ。

残念、鍵かけても無駄です。
ボク裕太の部屋のスペアキー持ってるから。いつでも入れるようにね。

こうしてボクは裕太が寝るまで、
深夜まで隣の自室でそのときを待つことにした。



「そろそろかな」

時計は1時を指している。

ガチャ。音を立てないように裕太の部屋の鍵を開ける。
良かった。もう寝てる。


それじゃ、失礼します。と…

ボクは裕太のベットの中に潜り込んだ。
すぐ隣で裕太は寝息を立てて寝ている。

うん、これでいいよね。



ぺロリ。ボクは裕太の耳を舐めてみた。
裕太はピクリと動いた程度で、目を覚まさない。

今度はフーっと顔に息を吹きかけてみた。
手でボリボリと顔を掻く。しかし、まだ起きようとしない。
 


ダメだ。起きないね。
お遊びはこれくらいにして、もう犯っちゃおう。


ボクは掛け布団を下に落とすと、横向きになっている裕太の
Tシャツを捲り、背中にキスしながら愛撫する。


「ん…っ」

さすがにこれで気づかなかったら不感症だよ。  
裕太が眠そうに目を開ける。一瞬にして表情が固まった。
 

「やぁ」ニコニコ

「ま…待て。なんでお前がいるんだよー!?オレ鍵かけたよな?確かにかけたぞ。どっから入ってきたんだよー!!!?」

「泥棒扱いしないでよ。ちゃんとドアから入って来たって。ボクこの部屋の鍵持ってるんだもん。そんなことより一緒に寝ようって言ったのに、どうして鍵かけるの?約束破った裕太には罰として兄さんの言うことを何でも聞いてもらうからね」
 
「約束なんてしてねぇよー!!!」
「深夜にそんな叫んだら響くよ。ご近所迷惑」


 
「んぁっ…くっ…やめ…ろ……!!」
「そんなこと言ってるけどここはもうこんなになってるよ?クス」





この日の不二兄弟の夜はかなり長く、
結局この後裕太は疲れきって兄周助と一緒に寝てしまったらしい。