X'mas Kiss2 2002.12.8



 あれから少したったある日の休日。場所は大きなショッピング街。予め決めていた待ち合わせ場所には3人の姿があった。
 歳の離れた姉と二人の弟達は久しぶりに勢揃いして、両親へのプレゼントを買う為会う約束していたのだ。


 クリスマスのイルミネーションに飾られたショッピング街を並んで歩きながら、3人は久しぶりに家族との会話を楽しんだ。

 カップルや家族連れで賑わう楽しげな雰囲気の中で、彼らの気分も自然と明るくなる。

「久しぶりね、裕太。元気にしてた?」
「あぁ。姉貴も相変わらずだな」
「フフ、元気そうで良かったわ。母さん、心配してるのよ?」
「うん。帰るよ、ちゃんと」
「クス。クリスマス、父さんは間に合わないみたいだけど、裕太が帰って来ればまた今年も僕達姉弟、一緒に過ごせるね」

「でも本当、父さんの帰国のめどがたたなくて残念だわ。今年も5人揃ってクリスマスはお預けね」
「でも27日には帰って来るんだろ?」
「うん。姉さんは父さん子だったから、クリスマスに会えないのが寂しいんだよ、きっと」
「あら、貴方だって小さい頃は随分と父さんの後ろ付きまとってたじゃない?」
「クス。僕だって父さんが居ないのは残念だよ、姉さん」

「きっと半年振りに見る二人の成長に父さん、喜ぶわよ」
「そうかな…」
「そうだよ。裕太は特にこの半年で背だって伸びたし」
「兄貴だって変わっただろ」
「えぇ。二人とも大きくなったわ、ちょっとの間に。去年の今頃は周助と裕太、口も聞かなかったのに、クス」

「あぁ…」
 と、思い返すように周助は苦笑いする。
「そんなこともあったな…」
 裕太も続けて苦笑した。

「あれから二人とも大人になったわよ。私はもうすっかり大人になってしまったけど、貴方達はこれからもっと大きくなっていくんだもの。私も弟達の成長が楽しみなのよ」
「早く、家族全員揃うといいね」

 不二家は普段から家族バラバラなことが多い。
 父親は目下海外赴任で滅多に帰って来ないし、裕太は裕太で寮生活である。その上、周助は毎日のように部活や試合などで家を空けている。

 家族全員が揃う機会なんて、年に数回あればいい方なのだ。だからか、こういった行事には思い入れも強かった。


 毎年親が子供にプレゼントをあげるように、子供達もまた親に感謝の意味を込めて贈り物をする。それが不二家の恒例なのだ。

「さてと、今年は何にしようかしらね」
 デパートに入った3人は、人込みを掻き分け綺麗にディスプレイされた商品を見て歩いた。

「去年は結局、母さんと父さんに久しぶりに二人きりでゆっくりして貰おうと、アメリカ行きの旅券にしたんだよなぁ…」
「毎年何を贈るかが迷うのよねぇ」
「母さんは気持ちだけで充分って言うけど、やっぱり母さん達が喜んでくれる顔見たいしね」
「うーん…だよな」

「ねぇ、今年は温かい物あげない?」
「あたたかい物?」
「えぇ、このご時世でしょ。気持ち程度でも温かい物ってことよ」
「なるほどな。で?何をあげるんだ?」
「それをこれから決めるんじゃない」
「そうだ、僕ら家族の写真を入れるフォトフレームなんてどう?」
「そうね!いいんじゃない?父さんと母さん、お揃いでね」
「あぁ、俺も賛成」

「クス、決まりだね」
 周助が二コリと微笑むと、二人も両親の喜ぶ顔を思い浮かべ嬉しそうにクスっと笑い返して見せた。

「えっと…雑貨の階・・かな?」
「そうね、きっと」
「だったら5階だな」
「そうだわ。クリスマスカードだけじゃなくて、手紙も添えたらどうかしら」
「うん。そうだね」
「手紙って何書くんだよ…恥ずかしいって」
「日頃言えないこととかあるでしょ?感謝の気持ちなんだからさ」
「裕太は昔から作文とかそういうのが苦手だったから…クスクス」

 笑い話をしながら、3人は雑貨のコーナーがある5階へエスカレーターで上っていった。
 すると、丁度すぐ目の前に目当てのものが目に入り、周助達は駆け寄っていった。

「あったね。これだ」
「いろいろ種類があるんだな」
「入れるんならたくさん入った方がいいんじゃない?ほら、これなら折りたたみ式だから3枚入るわよ」

 由美子が手に取ったのは、上質な皮で作られたものだった。
 値段もかなりそれなりにするのだが、ボーナスが出たばかりの由美子はそれも気にならなかったらしい。
「僕達姉弟と、父さん母さんの写真。それに5人揃って…か」
「クス、これが良さそうね。丁度色違いであるし」
「うん。俺もいいと思うよ」
「よし!じゃぁ、後はこのお姉様がお勘定してくるわね」
「クス、後は任せたよ。姉さん」

 財布の紐を握っている由美子が支払いをしに行ってる間、周助と裕太は近くを見て回った。
「なんかこういうの見てるとお袋達との買い物思い出すよ」
「クス。僕らはいつも決まって荷物持ちだったよね」
「周助は愛想良く付き合ってたけどさ、俺は正直逃げ出したかったんだぜ。この歳で親と買い物なんて恥ずかしいし」
「僕は反対に自慢だったなぁ。ほら、由美子姉さん人の視線引けつけるから。皆姉さんのこと見るでしょ」
「まぁな〜姉貴が美人ってのは俺もちょっと自慢だったけど」
「今でも姉さんは僕らの自慢だよ」
「あぁ、クス。だな」


「おまたせ〜何の話してたの?」
「姉さんは僕らの自慢だって話」
「あら、ヤダ!ちょっと二人とも嬉しいこと言ってくれるじゃない。フフ、お礼にお昼贅沢させちゃう!」
「えっマジ!?」
「えぇ。好きなもの食べなさい。姉さん奮発しちゃうわよ〜」
「クス。上機嫌だね、姉さん」
「だって嬉しいじゃない?弟達にそんな風に思ってもらえるなんて」
「クス、そうだね」
「私も貴方達のこと誇りに思うわよ」
「おっ…おぉ」
「クスクス、裕太ってば照れてる。まだまだ子供だよね。可愛いなぁ」
「てっめ…!!そんなんじゃねぇって…!」
「クス。否定しなくても分かってるわよ、裕太」
「だから違うって!おいっ!!」

 歳は一回りも違うけど、それでもこんなに仲が良いのはきっととても幸せなことなんだと3人一様に思った、そんな昼下がりの午後だった。


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