X'mas Kiss3 2002.12.10



「おっ!裕太の奴、また電話だ〜ね」
「昨日からもう何回目だよ」
「んふっ裕太の話す相手は決まってる、不二周助ですよ」
「何であいつにそんな何回も電話する必要があるんだ?」
「さぁ……それは僕にも。ここからじゃ声は聞こえませんし」
「きっと恋の相談だ〜ね!!」
「へぇ、そうなんだ」
「んふっ…裕太君も年頃ですからねぇ」

 聖ルドルフの学生寮では、昨晩から幾度と電話をする裕太の姿があった。それを目撃していた同じ部活のメンバーが、疑問を持たないはずも無い。
 彼の不自然な行動は、たちまちレギュラーの間にも伝わってしまう。

 そして今夜もまた何度目かの電話に再び向かう裕太を、テニス部レギュラー4人壁に隠れて盗み見していたのだ。観月、赤澤、木更津、柳沢。お馴染み以上のメンツである。

「ところで俺達、何で隠れてるんだ?」
「偵察だからですよ」
「あぁ、なるほど…」

 部長の赤澤が妙に納得していると、裕太は電話の受話器を置いて戻って行ってしまった。
「おっおい!裕太、終わったみたいだぜ。直撃だ」


「裕太…っ!」
「あれ?皆揃ってどうしたんですか?」
「んふっ裕太君。今誰に電話してたんですか?」
「え?あぁ、周助ですけど…」
「おっ!観月の予想通りだ〜ね」
「見てたんですか?」
「裕太の不信な行動見てたら誰だって気になるよ」
「ふっ不信!?」
「ふふふ…一日に何回も電話してたら怪しいでしょう。頼れるお兄さんに恋の相談ですか?」
「べっ‥別にそんなんじゃないっスよ!!ただ、クリスマスのことで、ちょっと話を…」
「じゃぁ兄貴と密話?」
「も〜そんなんじゃないんですよっ!!何で俺があいつとコソコソしながら電話しなきゃいけないんですかっ!もぉ…」
「んふっ…」

「で、何で何回も話す必要があったんだ?」
「いや、親父が仕事でクリスマスには帰って来れないんで、母さんの為に何かしてやりたいなぁ〜って話を…もうプレゼントは用意してあるんスけどね。今度は気持ちの方で」
「お前って孝行息子だよなぁ…将来いい家庭作れるぞ」
「それで何回も不二周助と電話ですか」

「期待に添えなくて呆れました…?」
 裕太が申し訳無さそうに言うと、柳沢が口を挟む。

「違うだ〜ね。観月は不二周助に妬いてるんだよ」

 すると、柳沢の言った一言に今まで穏やかだった観月の顔は豹変した。

「何をっ…!そんなんじゃないっ!」
「冗談だよ、冗談だって」
「うるさいっ……!アヒル!!」
「おっ…俺のどこがアヒルだ〜ね」

「……」
 観月の一言に、皆黙ってしまったのは言うまでも無い。

「まぁとにかく誤解が晴れて良かったな、裕太」
「お前だって最初はやらしいこと考えてたくせに」
「ははっ・・黙っててすみません」
 どんな理由であれ、皆が心配してくれていたことに、裕太が少し嬉しさを噛み締めた夜だった。


 皆が戻って行った後に、裕太が電話機に向かって『嘘ついてごめんな』と平謝りしていたのも、また事実だったけれど。

 本当のところは周助からかかって来る電話が嬉しくてつい自分からも掛けてしまい、『またぁ?』と可笑しそうに笑う周助の声が聞きたくて。
 周助も周助で裕太の携帯にかけたり、わざわざ寮の電話に掛けて来たりして対抗して来るもんだから、互いに一歩も止めるのを譲らなかった…それが真相だったらしいのだ。

 中学生らしいと言えばらしいふざけ合い。
 昨日からの二人は小さな子供のような屈託の無い笑みを浮かべ、とても嬉しそうだった。


「兄貴のバーカ」
 裕太が電話口に向かってそう言った時も、裕太の顔はとても嬉しそうに見えた。


>>>X'mas Kiss4



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ルド3年が12月になっても引退してないのは気にしないで・・・(笑)
中学生らしく、ふざけ合ったりしていて欲しいなぁという兄弟への願望へが今回文になりました(笑)