When You Wish Upon A Star1 -星に願いを- 
2002.10.9(修正:10.14)



「ふーじっ!おはよん」
「クス。おはよ、英二」

いつもと変わらぬ朝の挨拶。
だけど、普段とは周りの景色が大きく違う。
今、僕は大きな荷物を抱えて羽田空港のロビーに立っているんだ。

そう。僕達青学3年一行は、
これから北海道へ3泊4日の修学旅行に出掛けようとしていた。

季節はもう秋…


◆ ◆ ◆

この日、僕はいつも通り目覚し時計のアラーム音で目を覚ました。
時計の針は4時を指している。当然外は暗く、夜も明けていない。
もちろん住宅街一帯はまだ寝静まってる時間だ。

だけど、前日早めに床に入ったのと、これから始まる修学旅行に対して
込み上げて来る期待感からか、わりとすんなり起きることが出来た。

秋の訪れを感じさせる涼やかな初秋の早朝だった。


リビングでは、こんな時間にもかかわらず母さんと姉さんが朝食の準備をして
待っていてくれた。僕は有り難く朝食を頂き、しばらく家を空けるので
大事にしているサボテンの手入れを母さんに託すことにした。

そして、軽く朝食を済ませると空港までの運転を
快く引き受けてくれた姉さんと、早速羽田空港に向かうことにした。

「忘れ物は無い?」
「うん。大丈夫」
「クス。じゃぁ行きましょうか」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「行ってきます。母さん」

玄関先で、もうここで大丈夫って言ったのに、
母さんはわざわざ外まで出て見送ってくれたんだ。
やっぱりこういうことをしてくれる家族が居るって幸せだよね。

ふと目をやると家の庭先にはコスモスが咲いていた。



そんな感じで由美子姉さんの運転する車で空港まで送って貰ったんだけど、
集合時間よりだいぶ先に着いちゃったんだよね。

集合場所に行くにもまだ幾分余裕が有るし、
丁度仕事が休みだった姉さんと一緒に空港内の喫茶店で
しばらく時間を潰すことにした。

一応出掛ける前に少し食べてきたから、サンドウィッチとコーヒーだけ頼み、
微妙に空腹感のあったお腹を満たしていく。

「これから周助は3泊4日の旅なのよね。羨ましいわ。私も仕事休んで旅行したいわよ」
「クス。姉さんだってワンシーズンごとに大きな休暇取って海外行ってるじゃない」
「そりゃまぁそうだけど。ちゃんとお土産買って来てよ?」
「うん。あと裕太の為に白い恋人とバタークッキーと六花亭のチョコレート買ってこなきゃね」
「クス。裕太は甘いもの大好きだから」

「そういえば裕太、また身長伸びたらしいよ」
「そうなの?このままいけば父さんをも追い越しちゃうかもしれないわね」
「弟にどんどん離される僕は複雑な思いだよ」
「嬉しいやら悲しいやら?」
「そうそう。裕太の成長は嬉しいけど、遠くに行っちゃうみたいで寂しいよ」
「ふふ…悔しいって思いは無いのね」
「うーん。それは無いなぁ…変かな?」
「クスクス。普通はね…周助あなた、本当裕太が大好きなのね」
「あはは。うん、好きだよ。可愛いくて堪らないんだ」
「クス。もう率直なんだからっ…」
「クス。そうかな?」
「もうこの話はお終いっ。姉さん、裕太にジェラシー感じちゃうじゃない」
「クスクス。僕は姉さんだって好きだよ?」
「だからあなたはっ…もう」

冗談を交わし合いそんな他愛も無い話をしていたら
少しばかりゆっくりし過ぎてしまったので、
僕は彼女とここで別れ集合場所に移動することにした。


喫茶店を出て皆の待つそこへと向かう。

待ち合わせ場所となっていたロビー近くの一角には、
引率の先生達と供にすでにかなりの数の生徒達が集まっていた。

朝もまだ早いというのに、皆これから始まる旅に心躍らせている感じで、
明るい弾んだ声があちらこちら聞えてくる。

そこにはテニス部の面々の顔ぶれもちらほら見受けられた。
もちろんその中に大石の姿もある。テニス部では副部長を務める大石。
学級委員でもある彼は、やっぱりここでもリーダーシップを発揮し、
人数確認をしたりとクラスに貢献していた。

挨拶しようかとも思ったけど、忙しそうだったのでそれはやめておいた。


えっと僕のクラスは…あ、発見。

「おはよう」
「あー不二君、おはよっ」
「クス。英二来てる?」
「あぁうん。さっき河村君と一緒に居たわよ」
「そっか。ありがと」

クラスの女子に礼を言い、
僕はその場に荷物を置いて英二を探しに行くことにした。
時折、顔馴染の同級生に会い、挨拶程度に会話をしながら。


しばらく周辺を歩き回ったところで、ようやく英二を発見した。
タカさんはクラスの所へ戻ったらしく、英二は他のクラスの男子と
旅先の食べ物談義に花が咲いていたようだった。

キラキラと大きな目を輝かせて興奮する英二を見るのは楽しい。
しばらく僕は少し離れたところで英二のことを観察していたら、
向こうも気づいたらしく、駆け寄ってきた。

そして、僕に抱き付くかと思ったら思いっきり甘えて見せたりして、
笑顔で僕を迎えてくれる君。

「ふーじっ!おはよん」
「クス。おはよ、英二」

そんな英二がとても可愛くて、僕はまたとても嬉しい気分になるんだ。
互いに挨拶を交わすと、僕らは自分のクラスの所へ戻ることにした。


「ねぇねぇ、楽しみだよねぇ〜修学旅行!」
「うん。英二は特にこういう行事もの大好きだものね」
「もう昨日からワクワクしてたんだからっ!」
「クス。僕も英二とホテルの部屋一緒で嬉しいよ。合宿では
ほとんどいつも大部屋だから、二人っきりになる機会って少ないからね」
「うん。俺も不二と一緒で嬉しいにゃ」
「クス。たくさん思い出作ろうね、英二」
「そうだね〜いっぱいいっぱい!」
「そろそろ…なのかな。点呼取ってるね。並ぼうか?」
「うん」


僕と英二は同じ班だ。他にメンバーは何人か居るけど、
それも普段から仲の良い気心の知れた奴なので、不満も無い。

ホテルの部屋割りはツインの部屋が各班ごとに割り当てられていたから、
無論二人一緒の部屋を希望した。飛行機の座席も、バスの座席も隣同士だ。
しつこい程に僕達はいつも一緒に居る。

女子達がグループを作って行動するように、僕も英二と一緒に居ることが
クラスの中で当たり前になっていた。


仲が良い。
それだけでは済まされな想いが僕の中にはあるから。
そしてそれは彼の中にも。


こうして、僕達の北海道旅行は始まった。
3泊4日の初秋の旅。


>>>When You Wish Upon A Star2 -星に願いを-




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サイトにアップしたものの文章が気に入らなかったので、再度修正しました。
かなり不二の言葉遣いもラフになって文章もちょっと長くなってます。