When You Wish Upon A Star12 -星に願いを- 2002.11.12



二日目の朝はとても冷え込んでいて、暖房が効いていたにも関わらず
目が覚めると少しばかり鳥肌の立つような肌寒さを感じた。
自分の体温で暖まっているここからまだ出たくなくて、
布団を上まで被ると僕はもう少しこのままで居ることにした。

ただ横を向くと外は晴れていて、窓からは日差しが差し込んでいる。
ちょっと寒かったけど、北海道での朝はとても清々しいものだった。


しばらく外を眺めボーっとしつつ、ようやく躰も起きてきたので
まだ可愛い寝顔を浮かべた英二を起こさないよう静かに身を起こすと、
僕は一人顔を洗いに洗面所に向かった。

そして、持参していた洗顔フォームを泡立てながら、
バシャバシャと顔を洗って寝起き眼の目を覚ます。

顔も洗い終え戻ると、布団を頭まで被りながら
眠そうにして僕を見る英二が居た。

「おはよう、英二。いい夢見れた?」
「んー・・ご飯いっぱい食べる夢見たぁ…」
「クス、そっか。美味しいものたくさん食べれて良かったね」
「うん〜…」

僕は英二のベッドの端に腰を下ろすと、
英二の髪を撫で上げた。そして、おでこに軽くキスすると
英二は目を閉じて気持ち良さそうな顔をする。

「フフ…可愛いなぁ、英二は」
「ん〜……」

まだ寝ぼけたままの英二をそっとしておいて、
僕は服に着替えることにした。


バックから着替えを取り出しふいに窓の外に目をやると、
昨日は暗くて見れなかった庭園が目に飛び込んできた。
色とりどりに色付く花達を緑が囲み、色彩鮮やかな庭を造っている。

それは、爽快な朝の目覚めを助長させる
とてもキレイな景色だった。


「ねぇ英二、そろそろ起きた方がいいんじゃない?」
「もうちょっとだけぇ…」
「ご飯、食いっぱぐれるよ」
「うにゃぁ・・まだねむ〜ぃ…」
「ほらほら、起きないと」
「あと5分だけぇ…」
「クス。そんな駄々こねてると、僕こういうことしちゃうよ?」

「ひゃぁっ!!!」

途端ガバッと飛び起きた英二がとても可笑しくて、
クスクス笑ってると英二は膨れた顔をして僕を睨んで来た。

普通に起こしてもそんなことで起きる彼じゃないから、
僕が英二の一物を軽く握ってみた結果だった。


怒ってる顔も可愛いなんて言ったら英二はもっと怒るだろうと思って、
そのことは胸に閉まっておくことにした。

「だって英二、起きないんだもの」
「だっだからってなぁ・・んな朝にそんな…っ!!もぉっ!」
「クス。大丈夫だよ、たとえ英二のが勃ってようと僕はそんなこと気にしないからさ」
「ぶっ・・!不二のバカぁっ…!!」
「クスクス。早く着替えたら?」

自分の気持ちを素直に表情などに表す英二を見ていると、
性悪な僕はつい苛めたくなってしまう。

怒ったり喜んだり、時には悲しんだり…泣いて見せたり。
またある時にはとびっきり嬉しそうな顔をして。
そして、僕だけに見せるあの時の顔。

そんな一つ一つの反応が楽しくも有り、とても嬉しくて
僕は英二を眺めるのが大好きだった。英二は嫌がるだろうけど、
きっと一日中君を見てても僕が飽きることは無いんだろう。


僕に促され、しょうがないなぁと眠そうに着替える英二を見ていたら
僕は思わず彼を目一杯抱きしめていた。英二の腰に顔を埋め、
着替える英二の身動きを遮る格好で。

「不二、これじゃ着替えらん無いよ」
「もうちょっとこのままで居させて…」
「えー?」
「僕が後でちゃんと着替えさせてあげるからさ」
「俺、一人で着替えられるってば。子供じゃないんだから」

「クス。そうだね、あんな声出す子供は居ないよね…」

「それセクハラ〜…ねぇ、ちょっと離してよぉ」
「…」

「不二ぃ〜不二ってばぁ・・」

しばらく英二の腰にしがみ付いていた僕は
自分的に満足したので、とりあえずその手を離すことにした。
身動きが取れるようになった英二は再び服を着替え始める。

「もぉ〜不二って本当寂しがり屋だよな」
「クス、そうかな?」
「だって俺のこと良く抱きしめてくるしさ」
「英二だからだよ?」
「でも普通じゃないって」
「英二はそういうことされるのイヤ?」
「別にイヤじゃないけどさ…モノには限度ってものがあるじゃん?」

「そっか…」

こんなに君を欲しがってるのは
僕だけなのかもしれない。

そうだね、僕はすごく寂しがり屋だ。
英二と一緒に居ることにどれ程幸せを感じてるか・・・


「もぉ何て顔してんだよっ!」
「え…?」
「ご飯、食いっぱくれんだろぉっ」
「うん…」
「不二じゃなかったら俺だってとっくに蹴り倒してるって」

「英二・・・」

「ほら、お前が手伝う前に着替え終わっちゃったじゃん」
「クス。偉いね、英二」
「へへ、それで良ーし。急いで顔洗ってくるから、ちょっと待っててな」
「うん」

こんな可愛い顔をして、いつも可愛いことしてくれる彼だけど、
やっぱり時々英二は僕なんかより遥かに大人に見えた。


僕は心の中で英二に礼を言い、
英二の用意も済んだところで皆の待つ食堂へと向かった。


今日の宿はずっと離れた小樽だ。
その為、部屋を9時までに明渡さなくてはいけなく、
僕達がゆっくり朝食を取っている余裕は昨日の夕食と比べるとそれ程無かった。

早々に朝食を済ませると、僕と英二は荷物をいそいそとまとめ、
すでに玄関前で待機していたクラスのバスに乗り込む。
そして、出発時間になり、早速今日の目的地へと向かうこととなった。

遠く離れた小樽を目指し、バスは快調な走りを見せていた。


>>>When You Wish Upon A Star13 -星に願いを-