When You Wish Upon A Star4 -星に願いを- 2002.10.20



「ねぇねぇ不二、見てよ!湖っ!!」
「本当だ、十和田湖かな?」
「へぇ〜良く知ってんね」
「クス。この前社会で習ったじゃない」
「そうだっけ?」
「覚えてないの?一緒に地図広げてさ…」
「あーそういえばそんなことあったかも〜」
「クスクス。まぁ今日はそんなことどうでもいいか」
「そうそう、今日は勉強のことなんか一切忘れてさっ」
「クス。もう英二は現金だなぁ…」
「えー?何か言ったぁ?」
「何でもないよ」

英二は機内から見える景色に首っ丈で、
僕の言葉もまるで上の空だ。

「クス。もう少ししたら海見えるんじゃない?」
「そうなの!?うっわー早く見たい〜!!」
「見えて来たらあっちのドアの方で見たらいいかもね。ここじゃ窓も小さいし」
「うん!したら一緒に見に行こうなっ」
「そうだね。でも本当自然って綺麗だなぁ…上から見るとまた格別だよね」
「だね〜緑を見ると視力が良くなるっての分かる気がする」
「うん。心も癒されるよね」
「なんか不思議なんだよな」
「クス。あ、見て。見えて来た…」

少し話込んでるうちに、視界には蒼く広がる海が目に入って来た。
真っ青に広がる津軽海峡。

僕達は席を立ち、よりはっきり見えるドアの方へと移動することにした。

「上空から見るとでっかい船もほんっとちっぽけなんだね」
「ほんとだよね。ほら、陸地が見えて来た・・あれが北海道だよ」
「ほんとだ〜っ!!俺北海道って初めてだからドキドキする〜っ!!」
「クス。僕はスキーしに結構来てるけど、この時期の北海道は初めてだから僕も楽しみだよ」


「クスクス。上から見る北海道は雄大でしょう?自然がそのまま残されてて本当に素晴らしいわよね…」
「あっスチュワーデスさん〜っ!」
「こうして見ると僕達がいかに小さな存在かを認識させられます」
「フフ。しっかりしてるのね。感心しちゃう」
「ねぇねぇお姉さん、あとどのくらいで着くの??」
「あとちょっとってところかしら。そろそろお席に戻った方がいいかもしれないわよ?」
「そうなんだぁ。じゃ、不二〜戻ろっか?」
「だね」

「じゃーね、お姉さん〜」
「クスクス。バイバイ」

英二はスチュワーデスさんに大きく手を振って、
僕も軽くお辞儀をして席に戻った。


暫くすると、あの人の言った通り機内アナウンスは
シートベルト着用を指示してきた。高度も下がってきているようだ。
もう少しで僕達は北海道に降り立とうとしている。

離陸時の不安気な態度とは裏腹に、隣の英二は至って余裕の顔で
高度を徐々に下げる機体にむしろ興奮していた。

次第にはっきりと見て取れる下界の景色。窓から見える北海道の大地に、
英二でなくとも僕は興奮を隠さずにはいられなかった。
窓側の生徒からはこれから踏もうとしている土地を目の当たりにし、
盛り上がる声があちらこちら飛んでいる。


そして、僕達を乗せた飛行機は青い空の元、滑走路に無事降り立ち
羽田空港を飛び立った機体は今、函館空港に到着した。

「はぁー着いたね、不二!」
「うん。やっぱり外出たら寒そうだよね。上着羽織った方が良いかも」
「俺あっちに入れたままなんだよ、後で出さなきゃ」
「そうなんだ。でもきっと皆も同じだから大丈夫じゃない?」
「そだよねっ!まぁいっか」
「クス。じゃ、降りようか」
「うん!」
「気をつけてね。荷物とか落とさないように」
「もーう…大丈夫だよぉ〜子供じゃないんだから」
「クスクス。ごめんごめん…」
「へへっ」

飛行機を降りる際、僕達は先程話し掛けてくれたお姉さんにお礼を言って、
北の大地の玄関口である函館空港に足を踏み入れたのだった。


しかし、着いてからすぐ次の目的地に進むという訳ではなく、
自分の荷物を探し出すと、一旦団体ロビーで再度点呼を取ることとなった。

点呼も済むと、担当の先生から注意事項が、
生徒会長である手塚からはこれからの日程などについて簡単に説明があった。
30分くらい空港内でいろいろ説明を聞き、ようやくここを出発することとなる。


思ってた通り、10月上旬とは言えここは日本北端だ。
東京とは勝手が違う。やはりかなり肌寒いのだ。
持って来た上着を羽織り、僕達は出発の準備を整えた。

僕も、薄手のジャケットを持参していたので、
英二と共にその場で着込む事にした。


とりあえずはやる気持ちを抑え、用意されたバスに各クラス乗り込んで行く。
僕達の順番が来て、僕と英二は事前に決めていたバスの席順通りの
位置に落ち着いた。

それも最後尾なので、周りの目を気にせず好き勝手出来る。
選んだ基準もそんな安易な考えからだった。

「発車進行〜」
「クス。嬉しそうだね」
「うん!だってさ、楽しみなんだもん!!」
「これからさ、どんなことが待ってるんだろう」
「んー!!考えただけでワクワクすんねっ!!」
「やっぱり手塚でも楽しみだったりするのかな?クス」
「あーあの能面で結構ねぇ・・・ブブっ・・」

「これから3泊4日楽しみだよ」


何もかも大きなこの土地。
バスは僕達の思いを乗せ、目的地へと走って行く。


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